2015年4月15日号洋菓子特集号掲載「Bubby’s」

2015.04.21

Bubby’s(以下、バビーズ)はアメリカ・ニューヨーク州トライベッカで1990年にパイ専門店としてオープンしたアメリカの伝統的な家庭料理のカフェレストランだ。

 

日本では2009年、横浜桜木町に第一店がオープン。その後、赤坂アークヒルズ、八重洲地下街、横浜ランドマークプラザ、汐留と現在4店舗を展開しており、4月24日には5号店となる二子玉川店がオープンする。

 

 

《田邉シェフ》

昔懐かしさと温かみのある家庭料理がバビーズの最大の売りだ。

この中でも最も目玉商品になっているのは100%ホームメイドのアップルパイ。パンケーキから始まり、アメリカンスイーツが見直されている昨今、どのような思いで店舗を運営しているのかバビーズ統括総料理長の田邉貴之シェフに話を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

《 暖かみのあるライトに照らされる店内 》

 汐留シティセンターの中にあるバビーズ汐留店がオープンしたのは2013年7月。立地として見れば地下にあるものの、吹き抜けになっていることから開放感があり窓からは空模様を確認でき、光が差し込んでくる。店内は暖色系の電灯に照らされ、あたたかみがある内装にデザインされており、壁にはさまざまな絵が飾られている。

 

 

「バビーズでは全店を通し、世界観を統一することを心がけ、同じブランドやアーティストを用いるようにしている。中にはバビーズニューヨークのオーナーであるロン・シルバー本人の描いた絵もある」と田邉シェフ。

 バビーズでは、「ダイナー」という言葉を使用しないことを徹底している。レストランのクオリティで提供するというオーナーの想いをスタッフにも浸透させるためだ。

 

 店舗の面積は83坪、このうち厨房は30坪。

 客層は老若男女問わず、全体としてバランスが取れている。その理由として田邉シェフは「劇団四季の、電通四季劇場[海]が近いので、上演後に団体でいらっしゃる方も多い」ことを挙げる。アイドルタイムの時間帯を中心に汐留シティセンターの上階で働いているビジネスマンがミーティングで利用することも多く、時間帯を問わず安定した客入りだ。

 

 バビーズの哲学はアメリカの家庭料理を提供すること。そのため、製品はすべて手作り。流通の都合で店に出せないメニューは日本では取り扱っていない。メニューはすべて、アメリカの本店であるバビーズニューヨークで出しているものや、ロン・シルバー氏が書いた本の中から選んでおり、アメリカのものとまったく同じものを味わえる。

 

 同店のメニューはハンバーガーやサンドイッチ、サラダ、パンケーキなどのランチメニューが22種類、ステーキなどボリューム感のあるディナーメニューが23種類。パイの種類は定番メニューが8種類、加えて季節のパイが1種類の品揃えとなっている。

一番人気のアップルパイと、リピーターの多いピーカンメープルパイ

一番人気のアップルパイと、リピーターの多いピーカンメープルパイ

「アップルパイ(税別1ピース650円)」はバビーズを代表するメニューで、一番人気がある。一つひとつを丁寧に焼き上げ、素材と手作りにこだわった100%ホームメイドだ。

 このアップルパイは、1ホールに15~17個のシナモンで味付けをされた生のリンゴを使用。オーナーのロン・シルバー氏が幼い頃より食べているアップルパイの作り方で作られており、ぎっしり山積みにのせ、その上からパイ生地で包み込み、1時間かけてうま味と香りを閉じ込めながら焼き上げている。

 バビーズは素材にもこだわっており、アップルパイのメインとなるリンゴは、アメリカ・日本とも同じ種類を用いており、オーナーが直々にリンゴ農園でチェックし、仕入れたものを使用している。日本では青森県のリンゴ農園で生産されている紅玉を主に使用。1カットに2個以上のリンゴが入ったボリューム感たっぷり、甘さ控えめな仕上がりが特徴だ。

 

「アップルパイというと甘さが強いイメージが先行しがちだが、当店のアップルパイは甘すぎない。店内では生クリームと合わせて提供しているので、お客様の好みで調整できる。見た目のインパクトとともに、このシンプルな味がどんな人にも好まれ、年齢層を問わない人気を保てている理由なのだと思う」。

 アップルパイは丸一台(ハーフサイズ)の「マイルハイ・アップルパイ」(税込2200円)での販売も行っている。田邉シェフは「マイルハイ・アップルパイは、焼いてから冷ましてご提供ができるまでに時間がかかることや、他のパイの焼き上げの都合上、二日前には予約をしてもらいたい」という。

 

 このほか、「ピーカンメープルパイ(税別580円)」は、南アメリカの郷土料理の一つであることから、外国人やアメリカから帰国した留学生が懐かしみ、オーダーすることも多いという。

「見かけがシンプルで、なかなかまだピーカンナッツ自体も浸透しきっておらず、他店で見ることができないこともあって、『バビーズに来ればピーカンパイが食べられる』ということで再訪してくれるお客様も多い」と田邉シェフ。

 

《マフィンやスコーン、チョコチップクッキーなどはレジ横に並ぶ》

 また、バビーズではカフェやレストランメニューとは別にスコーンやマフィンなどのアメリカンスイーツを販売している。製品の数は店舗によって異なるが、汐留店では7~8種類ほどを用意しており、最も品数は多い。

「チョコチップクッキー(税別150円)」は当初予想していた以上に人気を博している。

焼き菓子もすべて粉から仕込み、チョコチップクッキーはソフトな食感とチョコレートの甘さを組み合わせた味が特徴。

「バビーズでランチやお茶をした後、会社におやつとして買って帰る人が多い」。

 

「アメリカ料理というと、最近は多くの店が日本に出店してきているが、まだまだ美味しいというイメージが持たれにくい。

アメリカの家庭料理には繊細な部分や奥深い部分もある。ネイティブなイメージを払拭し、バビーズで家庭料理ならではのあたたかさを表現したい」。

 

 また、今後の課題や目標について田邉シェフは「バビーズ=パイという認識を持っていただけているので、日本一のパイ屋さんを目指していく。また、もっとたくさんの人に美味しいアメリカスイーツやアメリカ料理を知ってもらえたら、と思っている」と目を輝かせて展望を語った。

 

 

Bubby’s 汐留店

 ▽バビーズ 汐留=東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンターB2F 、☎ 03-6274-6857、営業 平日午前8時~午後11時(LO午後10時)、土日祝午前10時~午後11時(LO午後10時)、不定休(施設休業日に準ずる)、ホームページ http://bubbys.jp/

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