【コラム】パンのクラム

2015.04.24

2015年4月25日号掲載

 農林水産省のまとめた今後10年の農業政策を示す「食料・農業・農村基本計画」の原案によると、政府は食料自給率(カロリーベース)の目標を現行の50%から45%に引き下げることとなった。

 2010年に自給率目標を45%から50%に引き上げ、コメの生産調整を守った農家に予算を使ってきた経緯があるが、現実に自給率が上がることはなく、2013年度まで4年続けて39%と低迷した。

 つまり、どんなに掛け声を大きくしても、日本の食料自給率は上がらなかった。

 若者は農業に魅力を感じなくなり、農業に従事することの素晴らしさやメリットを示せなかった。日本の人口そのものが減少の一途で当然のように自給率も上がらなかった。

 国産でどれだけの食料を生産でき、必要なカロリーを供給できるか。輸入に頼る日本では、いざ輸入が止まったら厳しい状況を強いられる。

 だからこそカロリーベースの自給率向上だったわけだが、自給率目標を45%に引き下げるということは、これからは自給率よりも、生産力、自給力を重視する方向に変わるということを意味する。

 パン業界もこれまで食料自給率の名のもとに縛られてきた面があるが、どんなに大義名分を言っても実際に数字は動かなかった。農業政策がどう変わろうともTPPを含め日本の食を広い視野で捉え、注視していきたい。

(Y)

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