【コラム】パンのクラム 2015年1月15日号

2015.01.26

「パンニュース」2015年1月15日号掲載

「経済最優先」の行方

 

昨年は4月の消費増税がターニングポイントとなり、それ以前の駆け込み需要、それ以後の個人消費の落ち込みが顕著だった。

消費税率10%へに引き上げを17年4月まで1年半延期した安倍晋三首相は、年頭にあたり、「成長途上のアベノミクス完遂に向けて、今年は経済最優先で取り組む」と述べた。「経済最優先」の行方が気になる。

巷では悲喜こもごもだが、全体的にスーパー、コンビニは、買い控えや食料品の値上げが響いて苦戦。ただ少しずつ消費意欲が上向いているようで、先行きは明るいと感じている向きは少なくない。

外食産業は、ファミリーレストランやファストフードが復調気配で、初売りでも年間1300万人を超える訪日外国人を中心にドラッグストアは好調だった。

円安の進行により、自動車など一部大企業の輸出が伸びているが、ベーカリーの場合は、原材料が上がるだけで少しも追い風になっていない。「コスト上昇分を売価に転嫁できない、利益が薄くなり、採算が悪化した」という声は多い。何とか商品を値上げして乗り切りたいのはやまやまだが、値上げに踏み切れないベーカリーが多い。

しかし、リテイルベーカリーにはまだ道がある。どんなふうにでも商品やサービスで付加価値を付けることができる。本紙新年号でデイジイの倉田博和氏が「パン屋そのものが付加価値だ」と言っているが、まさに至言だと思う。

(Y)

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